目次
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政治における「ウソ」
単なる虚偽発言だけを指すものではありません。
むしろ民主主義においてより深刻なのは、語られている言葉と、実際に行われてきた政治行動が一致していない状態が、長期間にわたって放置されることです。
公明党は長年にわたり、「平和の党」「庶民の味方」「対話重視」「現実的中道」といった自己定義を掲げてきました。
しかし、近年の政策判断、国会での対応、外交・安全保障分野における姿勢を冷静に検証すると、これらの言葉と実態の間には、無視できない乖離が存在していることが分かります。
本記事では、特定の思想や支持母体を断罪することを目的とせず、
発言・行動・結果という三つの観点に絞り、公明党の「ウソ性」がどこから生じているのかを構造的に検証していきます。
「中国に最も厳しい政党」という発言は成立するのか
近年、公明党幹部はテレビや新聞などのメディア出演において、
「中国に対して最も厳しい姿勢を取ってきたのは公明党だ」
と発言しています。
しかし、この自己評価は、過去の具体的な行動と照らし合わせたとき、極めて疑問が残ります。
ウイグル人権問題決議における実際の対応
国会では、中国によるウイグル人への人権侵害をめぐり、中国政府を名指しで非難する決議案が検討されました。
しかし、最終的に採択された文言は以下のような内容でした。
- 「中国」という国名は明示されず
- 「深刻な人権状況」という抽象的な表現に置き換えられ
- 責任主体が明確にならない構成
この文言調整において、慎重論を主導したのが公明党であったことは、国会関係者の間では広く知られています。
中国との外交関係を考慮した判断であった可能性は否定できません。
しかし問題なのは、その行動と同時に「中国に最も厳しい政党」と自称している点です。
行動が慎重であることと、厳しい姿勢を取ってきたと主張することは、論理的に両立しません。
対中制裁・非難への一貫した消極姿勢
ウイグル問題に限らず、公明党は対中制裁や強い非難決議に対して、次のような理由を繰り返し示してきました。
- 外交問題に発展する恐れがある
- 事実認定が難しい
- 対話の余地を残すべき
これらの主張自体は、外交的配慮として一定の合理性を持っています。
しかし、それならば「中国に最も厳しい政党」という自己定義は成立しません。
慎重であることと、厳しいことは同義ではありません。
この点において、言葉と実態の明確な乖離が存在しています。
「平和主義」という名の下で否定され続けた抑止力
公明党は長年、「平和の党」を標榜してきました。
その象徴が、安全保障政策に対する一貫した慎重姿勢です。
安保法制に対する最後までの抵抗
2015年に成立した安全保障関連法制は、日本が限定的に集団的自衛権を行使できるようにする内容を含んでいました。
この法制に対し、公明党は次のような立場を最後まで崩しませんでした。
- 先制攻撃は絶対に認めない
- 専守防衛の枠内にとどめるべき
- 抑止力強化につながる解釈拡大には反対
しかし、国際政治の現実において、抑止力を持たない国家が平和を維持することは困難です。
抑止力とは、実際に武力を行使するためのものではありません。
「行使される可能性がある」と相手に認識させるために存在します。
この現実を踏まえれば、抑止力そのものを極端に忌避する姿勢は、結果として日本の安全保障を弱体化させる方向に働きます。
それにもかかわらず、「平和の党」を名乗り続けることは、理念と結果の乖離を直視していない態度だと言わざるを得ません。
「選挙に強い政党」という神話と現実
公明党は長年、「組織票を持つ」「選挙に強い政党」と評価されてきました。
しかし、その前提は近年、確実に揺らいでいます。
支持基盤内部で起きている変化
近年、以下のような変化が指摘されています。
- 投票依頼活動の縮小
- 他党との連立・連携に対する内部不満
- 支持者層の高齢化と分散
これらは、公明党自身も把握しているはずの現実です。
それにもかかわらず、外向きには依然として
「選挙に強い政党」「影響力の大きい政党」
というイメージだけが語られ続けています。
現実の変化を説明せず、イメージだけを維持しようとする姿勢も、政治における不誠実さの一種です。
「中道改革」という名称が覆い隠すもの
立憲民主党との新党構想において掲げられた「中道改革連合」という名称は、一見すると分かりやすく、耳当たりの良い言葉です。
しかし、実際の政策内容を見ていくと、次のような特徴が浮かび上がります。
- 原発再稼働の容認
- 安保体制の容認
- 従来の立憲民主党の主張との明確な矛盾
これは、理念の一致による連携というよりも、選挙を前提とした一時的な合体に近いものです。
名称によって実態を覆い隠し、十分な説明を行わない姿勢は、有権者を軽視していると言わざるを得ません。
最大の問題は「説明しないこと」
公明党の最大の問題は、中国との関係でも、宗教的背景でもありません。
本質的な問題は、次の点にあります。
- なぜその判断をしたのか
- なぜ反対したのか
- なぜ主張を変えたのか
これらを国民に十分に説明してこなかったことです。
説明なき政治は、民主主義において最も危険な形態です。
それにもかかわらず、「責任政党」「現実的中道」を名乗り続けている。
この姿勢こそが、多くの有権者に「ウソ」と受け取られている本質だと言えるでしょう。

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