2025年10月に値上げされる食品が3000品目を超えることが、帝国データバンクの最新調査で明らかになりました。これは今年4月以来、約半年ぶりとなる大規模な値上げであり、家計や消費活動に大きな影響を及ぼすと見られています。生活必需品を含む幅広いジャンルが対象となっているため、消費者の購買意欲や家計管理に与える影響は避けられない状況です。
値上げ対象は3024品目、前年同月比で増加
調査結果によると、10月に値上げが予定されている食品は3024品目で、前年同じ月と比べて3.4%の増加となりました。値上げ品目数が3000を超えるのは今年4月以来で、半年ぶりの高水準となります。過去数年間、食品の値上げは断続的に続いていましたが、ここにきて再び消費者の負担が増す形となり、物価上昇が日常生活に直結する懸念が強まっています。
酒類・飲料が7割超を占める内訳
値上げ対象をカテゴリー別に見ると、「酒類・飲料」が2262品目と最も多く、全体の7割以上を占めています。具体的にはペットボトルの清涼飲料水、日本酒、ビール、チューハイなど幅広い商品が対象です。次いで、パックごはんや餅などの「加工食品」が340品目、焼き肉のたれやみそなどの「調味料」が246品目と続きます。飲料関連の比率が高い背景には、容器や原料コストの上昇、さらに物流費の増加が重なっていることが指摘されています。
値上げは累計2万品目を突破
主要食品メーカーが2025年12月までの1年間に値上げを公表した品目は累計で2万381品目に達しました。これは前年の1年間に実施された値上げ実績の1.6倍を超える規模であり、食品価格の上昇が単発的な動きではなく、長期的かつ恒常的に進んでいることを裏付けています。消費者にとっては毎月のように続く値上げが「新常態」となりつつあり、生活防衛意識の高まりが見込まれます。
背景にある要因 ― 原材料・物流・人件費の上昇
今回の値上げの背景には、世界的な原材料価格の高騰が大きく影響しています。穀物や砂糖などの国際相場が上昇しているうえに、円安によって輸入コストがさらにかさみました。加えて、国内の物流費や人件費の上昇、燃料価格の不安定さが企業のコスト構造を圧迫しています。結果として企業は値上げ以外に対応策を見出しにくく、消費者に負担が転嫁される形となっています。
消費者への影響と今後の見通し
帝国データバンクは、「食品の値上げは今後も長期化・恒常化する可能性が高い」と指摘しています。一方で、実質賃金は伸び悩んでおり、消費者の購買力は十分に回復していません。このため、価格転嫁が続いた場合、消費者の理解を得られるかどうかは不透明です。家計への負担感が強まれば、外食を控えたり安価な代替商品にシフトする動きが拡大するとみられます。小売業界においても値上げの影響を踏まえた販売戦略の見直しが求められるでしょう。

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