政府は、コメの安定供給に向けて、5日の関係閣僚会議でまとめる今後の対応案を発表しました。この案では、コメ価格高騰の要因として「生産量が需要量より不足していた」と分析し、新たな環境配慮型の農業への直接支払いの交付金を創設するなどして、増産に踏み切る方針を打ち出しています。これは、事実上の減反にあたる生産調整を見直す農政の歴史的転換となります。
石破首相は、今後の需給逼迫に柔軟に対応できるよう、以下の3つの方針を表明する見通しです。
- 増産にカジを切る
- 耕作放棄地の拡大を食い止め、次世代に農地をつないでいく
- 輸出の抜本的拡大に全力を傾ける
この対応案では、先端技術を活用したスマート農業の推進や、農地の集積など経営の大規模化、法人化による生産性の向上を図ることが計画されています。また、大規模化が難しい中山間地のコメ作りを支援するため、環境に配慮した取り組みを対象とした新たな直接支払い制度も設ける予定です。
さらに、米国による関税措置の下でも国産米の競争力を維持し、コメの輸出拡大を図ることで「増産の出口」を確保する方針です。2026年度予算案の概算要求で、こうした増産に関連する予算を計上することも明らかにされています。
一方、農林水産省が行った価格高騰の要因分析では、訪日外国人客の増加を考慮しないまま「生産量は足りている」と判断したことが指摘されています。流通面では、民間の在庫の多くが既に売り先が決まっているため、需要が増えた場合でも対応する余裕がなかったとされています。
政府は、2018年産から毎年の生産量の目標を決めて都道府県に配分する「減反政策」を廃止しましたが、その後も需要予測に基づく生産量の目安を示し、麦や大豆などに転作する農家に補助金を出す事実上の減反政策を継続していると指摘されています。
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