【2025年最新版】外国人技能実習と特定技能で法令違反が過去最多 厚労省調査で明らかになった課題と今後の対策

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国際協力機構(JICA)は9月25日、アフリカとの交流を目的とした「アフリカ・ホームタウン事業」を撤2025年9月26日、厚生労働省は2024年に実施した立ち入り調査の結果を公表しました。調査対象となったのは、外国人技能実習生や特定技能の外国人が働く全国の事業所です。その結果、8310カ所で法令違反が確認され、統計開始以来最多という深刻な数字が明らかになりました。さらに、2019年に導入された特定技能制度で働く外国人労働者の職場についても初めて調査結果が公表され、4395カ所で違反が見つかったとされています。

人手不足に悩む日本の産業は、もはや外国人労働者なしでは回らない状況にあります。しかし、今回の調査結果は、日本が「外国人頼みの労働モデル」を構築する一方で、その受け入れ環境を整える努力が追いついていない現実を突きつけるものでした。

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技能実習制度は1993年に創設され、途上国の若者に日本で技能を学ばせ、その知識を母国に持ち帰り発展に役立てることを目的とした「国際貢献制度」として始まりました。しかし実態としては、農業、食品加工、縫製、建設といった人手不足業種に労働力を供給する役割が大きく、「低賃金で働かされる労働力確保の仕組み」と批判されてきました。国連人権理事会からは「現代の奴隷制度」とまで指摘された過去もあります。

一方、特定技能制度は2019年に創設された比較的新しい枠組みで、技能試験や日本語能力試験を突破した即戦力の人材が対象となります。対象分野は介護や農業、建設、製造業など14業種で、企業が直接雇用できる点が特徴です。しかし、「試験をクリアした優秀な人材」であっても現場の労働環境は厳しく、長時間労働や不払いといった問題から逃れられていない実態があります。

2024年末時点で、

  • 技能実習生:約45万人
  • 特定技能:約28万人

が在留しており、地方の中小企業にとっては生命線となっています。裏を返せば、日本の産業構造はすでに外国人なしでは維持できない状況に陥っているとも言えます。

今回の厚労省調査では、労働安全衛生法違反が2837件で最多となりました。安全装置を取り付けていない、点検を怠ったまま機械を稼働させる、危険予知訓練を実施しないなど、事故につながりかねない事例が多発しています。実際に食品工場では、安全装置の未点検により特定技能の労働者が機械の刃で指を切断する重大事故が発生しました。

次に多かったのは割増賃金の不払い(1774件)です。残業代や深夜手当を支払わず、事実上のサービス残業を強いていた事業所が多数確認されています。ホテル業界では、休憩時間中に働かせていたにもかかわらず賃金を支払わないという悪質なケースも報告されました。

特定技能制度の事業所でも同様の傾向が見られ、労働安全衛生法違反は1378件と突出しており、制度の新しさにもかかわらず労働環境改善が追いついていない現状が浮き彫りになりました。

違反件数が過去最多となった背景には、複数の構造的要因が存在します。

  1. 深刻な人手不足と過重労働
    少子高齢化により労働力人口が減少し、地方の中小企業では慢性的に人手が足りません。結果として、外国人労働者に過剰な残業や休日出勤を強いざるを得ない状況になり、労働基準法違反が発生しやすくなります。
  2. 監督指導の強化による「顕在化」
    厚労省はここ数年、外国人労働者保護のために立ち入り調査を強化しています。違反件数が増えたというよりも、これまで見過ごされていたケースが表面化したとも考えられます。
  3. 制度の複雑さと企業側の知識不足
    入管法や労働基準法の知識が不十分な中小企業が多く、意図せず違反状態になることも少なくありません。しかし「知らなかった」では済まされず、結果的に労働者が犠牲になります。

厚労省は「安全衛生の確保に重点的に取り組む」とコメントしましたが、これは毎年のように繰り返されるお決まりの言葉とも言えます。現場では、コスト削減や納期優先のプレッシャーが強く、安全対策よりも生産性が重視される傾向があります。

さらに、技能実習制度そのものが国際社会から批判されているにもかかわらず、制度改革は部分的にとどまっており、「安い労働力を確保する仕組み」という本質は変わっていないと指摘する専門家もいます。国連人権理事会やILO(国際労働機関)からの勧告もあり、日本は国際的なイメージ低下というリスクを抱え続けています。

企業は次のような具体的対策を早急に実施する必要があります。

  • 安全衛生体制の徹底:機械の定期点検、保護具の配布、多言語化された作業マニュアル
  • 労働時間管理の適正化:残業時間の把握、法定割増賃金の確実な支払い
  • 教育・研修の強化:管理職向けの労働法研修、外国人労働者への安全教育
  • 相談窓口の設置:ハラスメントや未払い賃金などのトラブルを早期に解決する仕組み

政府側も単なる取り締まりだけではなく、制度の抜本的見直しを行い、外国人が人間らしく働ける仕組みを整えるべきです。

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今回の厚労省調査は、日本の外国人雇用モデルが抱える根深い問題を再び明らかにしました。単に違反を取り締まるだけではなく、制度そのものを再設計し、外国人が安心して働ける環境を作ることが求められます。

もしこのまま「安価な労働力」に依存し続ければ、日本は国際社会からの信頼を失い、優秀な外国人材が日本を敬遠する未来が訪れるかもしれません。
今こそ、持続可能な外国人雇用モデルへの転換が急務です。

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