米国における仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」の成立プロセスは、複数の立法上の障壁に直面しており、ホワイトハウスが目標とした7月4日(独立記念日)までの成立は困難な情勢にある。下院は公聴会を7月17日に設定した一方、上院では本会議採決に向けた3つの主要な課題が未解決のまま残っている。
下院の動き:7月17日に公聴会を開催
米下院金融サービス委員会は、クラリティー法の公聴会を7月17日にニューヨークで開催することを委員会カレンダーに掲載した。この公聴会では、同法案がデジタル資産や金融イノベーションに与える影響が議論される予定である。
下院はすでに2025年7月に294対134の超党派多数で旧バージョンの法案を可決しているが、上院が独自の修正版を審議しているため、両院が同一テキストで可決する必要がある。そのため、上院版との内容調整を経た後に、改めて下院が承認手続きを踏むことになる。
上院の3つの障壁
上院では本会議採決に向けて、以下の3つの障壁が残存している。
第1の障壁:60票の確保
上院本会議で審議を打ち切り採決に持ち込むためには、クロージャー(議事終結動議)で60票の超党派賛成を確保する必要がある。上院銀行委員会は5月14日に15対9で法案を可決したが、この委員会レベルの賛成票を本会議で60票に積み上げるための超党派支持は、まだ公式に確保されていない。
第2の障壁:委員会テキストの統合
銀行委員会と農業委員会がそれぞれ作成した上院テキストの統合が必要である。CFTC(商品先物取引委員会)とSEC(証券取引委員会)の権限分担をめぐって両委員会の管轄が交錯するため、一本の本会議提出用テキストに統合する作業には通常、数週間のスタッフレベルでの交渉が必要とされる。
第3の障壁:倫理条項をめぐる対立
上院議員のキルステン・ギリブランド氏は、高官が在職中に仮想通貨保有で利益を得ることを明示的に禁じる倫理条項の明記を採決支持の条件としており、この要求が60票確保の計算に影響を与えている。6月11日の超党派会合では、共和党側とホワイトハウスが暫定合意していた主要条件を撤回したため、合意に至らなかった。
成立目標の困難さ
ホワイトハウス仮想通貨評議会のパトリック・ウィット事務局長は5月7日のコンセンサス・カンファレンスで、7月4日(米独立記念日)までの成立を目標として公言していた。しかし、7月4日までに成立させるには上院の残り会期日が9日のみであり、主要な政策上の対立が複数残存する現状では極めて困難な情勢にある。
予測市場ポリマーケットでは、クラリティー法が2026年中に成立する確率を57%と算出しており、今年の成立が困難になった場合、法制化は2027年以降に先送りされる可能性があるとみなされている。
クラリティー法の概要
クラリティー法は、ビットコインなどの仮想通貨をCFTCの監督下に置き、投資契約に該当する仮想通貨についてはSECが管轄するという二元的な規制体制の構築を定めた法案である。CFTC・SECの管轄が長年曖昧なまま重複執行が続いてきた問題を解消し、米国内の仮想通貨事業環境を整備することを目的としている。

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