2025年11月4日、ブロックチェーン基盤のインフラを提供するProgmat(プログマ)は、日本版トークン化株式(ST)の検討を開始することを発表しました。このプロジェクトは、野村、三菱UFJ信託、SBIを含む24の大手金融機関と共同で進められます。
Progmatは「トークン化法・株式STワーキング・グループ」を設置し、株式をブロックチェーン上で取引可能にする仕組みを検討しています。Progmatは三菱UFJ信託銀行の子会社であり、ブロックチェーン技術を活用した金融インフラの構築を手がけるスタートアップ企業です。
日本株市場の現状と課題
現在の日本株市場では、原則として100株単位でしか売買できず、少額取引が難しい状況です。このため、株式保有の中心は外国法人等に偏っており、国内の個人投資家の割合は1985年頃からほぼ横ばいで17%近くに留まっています。少額投資環境の整備が他国に比べて遅れているのが実情です。
一方で、個人株主数は増加しており、特に「単元未満株のみ株主」の数が増加しています。2023年度には、総株主数約8,785万人のうち、約1,175万人(13.4%)が「単元未満株のみ株主」となっています。
トークン化株式による解決策
Progmatの構想では、預託証券(DR)方式を採用し、信託の仕組みで株式を小口化することで、1円単位からの購入を実現します。これにより、複数の証券会社間での取引や24時間取引が可能になる見込みです。配当金は保有量に応じて分配され、議決権は持株会のように代表者が行使する形が想定されています。
発行体企業にとっては、権利者をリアルタイムで把握できるため、効果的なマーケティングによる「ファン株主」の促進が期待されます。また、流通チャネルとして大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)などの私設取引システム(PTS)が活用される予定です。
今後の展望
ワーキング・グループは2025年11月にキックオフし、2026年3月には報告書と「トークン化法」の立法素案を公表する予定です。この法案は株式だけでなく、投資信託や地方債など、あらゆる有価証券を対象とした包括的な法整備を目指しています。2026年春からは実際の商品開発が始まる見込みです。
海外では、Backed FinanceやOndo Financeが24時間取引を実現しており、ナスダックもトークン化株式を既存株式と同じ取引板で売買可能にする規則改正案を提出しています。日本においても、トークン化株式の導入が進むことで、個人投資家の参加が促進され、市場の流動性向上が期待されます。

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